2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

飯田龍太『童眸』

『童眸』は、飯田龍太の第二句集。 角川書店の『飯田龍太全集』第一巻で読んだ。 昭和29年から昭和33年までの五年間の句をまとめた句集だが、482句収録されていて結構なボリュームがある。 大寒の一戸もかくれなき故郷 句集の巻頭の一句である。故郷の土地を…

山岸由佳『丈夫な紙』(素粒社)

『丈夫な紙』は、山岸由佳さんの第一句集。2022年12月、素粒社発行。 白色と茶色を基調とした装幀の色合いが、落ち着きがあって良い。 冬の鳥うどんほぐれてゆき無心 u音の韻律が楽しい。冷凍うどんを湯がいている景を思い浮かべた。菜箸でうどんを少しずつ…

山西雅子『沙鷗』(ふらんす堂)

『沙鷗』は、山西雅子さんの第二句集。2009年8月、ふらんす堂発行。 中田剛さんの栞文によると、句集名の「沙鷗」は、杜甫の五言律詩「旅夜書懐」の最終行「天地一沙鷗」から取られたとのこと。とても良い句集名である。 板の間に蝶の映れる極暑かな 障子を…

正木ゆう子『玉響』(春秋社)

『玉響』は、正木ゆう子さんの第六句集。2023年9月、春秋社発行。 「玉響」は「たまゆら」と読む。〈玉響は露。朝日に向かって見る露は透明だが、朝日を背にして見る露は反射光なので、虹のように色がある。〉と句集の冒頭に書かれている。 犇驫羴鱻淼灥森涅…

仲寒蟬『海市郵便』(邑書林)

『海市郵便』は、仲寒蟬さんの第一句集。2004年7月、邑書林発行。 柄澤齊氏による表紙のコラージュ画が良い。旧字体の句集である。 鯨の尾祈りのかたちして沈む 「祈りのかたち」に、指を組んだ人の手の姿を思い浮かべることもできるし、鯨の尾そのものが祈…