正木浩一句集『槇』(ふらんす堂)

『槇』は、正木浩一氏の第一句集。1989年9月、ふらんす堂発行。

 

どうしても読みたくて図書館で取り寄せて貰ったりしたこともあったのだけど、その後たまたま入手することが出来た。

能村登四郎氏による序文に〈人の世の縁というものはちょっとしたきっかけであってもその絆は長い。その絆は大切にしたいと思っている。〉とあって、愛があるなと思った。

 

すれ違ふべき炎天の人遥か

海に降る雪を想へり眠るため

かの馬鹿のうはさも絶えて豊の秋

まぶしくて目のあけられぬ蕗のたう

首のべて喉剃る鶴の来べきころ

芹といふことばのすでにうすみどり

春星や近ければ母おろそかに