中西亮太『木賊抄』(ふらんす堂)

木賊抄』は、中西亮太氏の第一句集。2023年12月、ふらんす堂発行。

 

句集名は、収録句の〈伸びてゐる木賊と折れてゐる木賊〉に依るものであろう。初句索引と季語索引が巻末にあり、丁寧に作られている。端正な写生句やユーモアとペーソスを感じさせる句など、読み応えのある句集だ。

 

掛けてあるだけの麦藁帽子かな

いつまでもひとり愉しくいなびかり

やはらかく鳥は巣箱を出づるかな

古きものみな音大き南風

扇風機愚人のごとく置いてあり

秋の蚊の志なく飛びゆけり

焼藷を持ちて国立大学へ