水原秋櫻子『葛飾』

『葛飾』は、水原秋櫻子の句集。角川書店の『増補現代俳句大系』第1巻で読んだ。

 

梨咲くと葛飾の野はとの曇り

高嶺星蚕飼の村は寝しづまり

まつはりて美しき藻や海水着

夜の雲に噴煙うつる新樹かな

姿見に見ゆる風鈴鳴りにけり

鯰ぞと灯かざす魚籠の底のもの

ふくろうの口ごもり鳴ける良夜かな

 

岩田奎句集『敵』(書肆侃侃房)

『敵』は、岩田奎の第2句集。2026年6月、書肆侃侃房刊。

 

夜も夏映画が照らす顔二百

プリクラの鋏に鎖秋惜しむ

叫ぶおやすみとか氷るおやすみ

休日も少しはたらく蓮かな

野馬追の糞をタイヤがのばし去る

牛乳に浸す肝臓木の根明く

死出の旅ゆくにも手持扇風機

 

敵

敵

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大石悦子句集『百囀』(ふらんす堂)

『百囀』は、大石悦子の第六句集。2020年7月、ふらんす堂刊。

 

紙雛とは山に折り谷に折り

波郷忌の抱へて運ぶ落葉籠

オリオンに一献シリウスと一献

草の絮空ゆく倭建命かな

まみどりの栄螺の肝は吾に呉れよ

喪に籠る栗の砂糖煮などをして

泊船のごとしづまりぬ月の家

 

大石悦子句集『有情』(角川書店)

『有情』は、大石悦子の第五句集。平成24年12月、株式会社角川書店刊。

 

けむり茸七つ蹴つたり足潰る

へうたんのくびれぐあひを侃々す

飯蛸の飯ゆたかなる播磨かな

蟬茸のあはれ紅さすひとところ

流れくる桃を百年待つとせむ

椿象は来るはパソコンは鈍いは

三日来ぬ梟よ吾も三日老い

 

小野あらた句集『毫』(ふらんす堂)

『毫』は、小野あらたの第一句集。2017年8月、ふらんす堂刊。

 

絵も文字も下手な看板海の家

天井に光揺らめく紙漉場

大き蛾は大回りして誘蛾灯

テーブルに七味散りをりかき氷

草餅の指に凹みて戻らざる

教室の後ろ灯さず夜学かな

噴水の落ちゆく水の吹かれけり

 

毫

毫

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大石悦子『耶々』(富士見書房)

『耶々』は、大石悦子の第四句集。平成16年9月、富士見書房刊。

 

犀に降るさくら孔雀に降るさくら

しぐれ虹二つ目は藍濃かりけり

手を入れてみたき帚木紅葉かな

草や木に十一月の雨降るよ

友になりたし石榴十ではどうだらう

きつねのかみそり付きの墓地なれば買ふ

なんのこれしき落鮎の腹の砂

 

 

大石悦子『百花』(角川書店)

『百花』は、大石悦子の第三句集。平成9年3月、株式会社角川書店刊。

 

菖蒲湯の一夜経たるは禍々し

海抜を訊きて涼しくなりにけり

半分の半分を賜べ草の餅

晩白柚美童と一夜ゐるごとし

桃二つおほいなる御亡骸に

初夢の鯤の目玉にこだはりぬ

晩景のととのつてきし冷し酒