2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧
『百戸の谿』は、飯田龍太の第一句集。 角川書店の『飯田龍太全集』第一巻で読んだ。 「昭和二十八年」から始まり「昭和二十三年以前」まで遡る構成で、それぞれの年ごとに春・夏・秋・冬の句が並んでいる。 黒揚羽九月の樹間透きとほり 「昭和二十四年」の…
『日々未来』は、南十二国さんの第一句集。2023年9月、ふらんす堂発行。 『俳コレ』や『天の川銀河発電所』といった俳句のアンソロジーで作品を目にしたことはあったけれども、こうやって句集でまとめて読めるのは嬉しい。 どろどろと天冥くなる牡丹かな 「…
『伴侶』は、中岡毅雄さんの第五句集。2023年8月、朔出版発行。 穏やかな句調であるが、境涯を詠んだ句の多くは凄みがあった。 間村俊一さんによる装幀も素晴らしい。 ものの芽にもつとしづかなときを待つ 助詞の「に」が効果的に使われている。「ものの芽」…
『水売』は、阿部完市の第十句集。2009年2月、角川書店発行。 2004年から2008年までの句を収めているらしい。 阿部完市の句を音読していると、韻律が呪文のようで楽しい。 梟や電球やしかし名詞かな 句集の中でいちばん訳が分からなかった句である。助詞「や…
『月と書く』は、池田澄子さんの第八句集。2023年6月、朔出版発行。 メタリックな表紙カバーがかっこいい。章のタイトルも「朋」「露」「光」「水」「星」「霧」「蝶」と漢字一文字に統一されていて、スタイリッシュだ。 木々嬉し秋ョ秋ョと小鳥たち 「秋ョ…