阿部完市『水売』(角川書店)
『水売』は、阿部完市の第十句集。2009年2月、角川書店発行。
2004年から2008年までの句を収めているらしい。
阿部完市の句を音読していると、韻律が呪文のようで楽しい。
梟や電球やしかし名詞かな
句集の中でいちばん訳が分からなかった句である。助詞「や」や接続詞「しかし」が変な使われ方をしている。結局、「梟」と「電球」という二つの物体が脳内に映像として浮かぶが、それらも「名詞かな」と下五で回収されるのが愉快である。
きつねいてきつねこわれていたりけり
この句は句集を読む前から知っていたが、晩年の作であることに驚いた。不穏な内容なのに、ひらがなで書かれることでどこか寓話的な雰囲気を醸し出している。
鱧素麵食べおわりましたけれども
きさらぎやふーふーふいている荷風
ちぐりす・ゆーふらてす河あいすこーひー
かれいいちまいいちまい焼きぬはらいそ
仏和辞典にわとりはにわとりはあそぶ