2025-07-01から1ヶ月間の記事一覧

久永草太歌集『命の部首』(本阿弥書店)

『命の部首』は、久永草太氏の第一歌集。2024年9月、本阿弥書店発行。 図書室のここは海底ごくたまに原色ウミウシ図鑑が動く 気を付けて刑法上は器物でもそいつ吠えたり愛したりする 「ねえおれのみみくそはみーとぼーるだし、はなくそはばらのかおりなんだ…

谷川嘉浩『増補改訂版 スマホ時代の哲学』(ディスカヴァー携書)

増補改訂版 スマホ時代の哲学 「常時接続の世界」で失われた孤独をめぐる冒険 (ディスカヴァー携書) 作者:谷川嘉浩 ディスカヴァー・トゥエンティワン Amazon 「詩を作る」という作業において自己の複数性が果たす役割は大きいというヴァレリーの知見に倣う…

若林哲哉句集『漱口』(文學の森)

『漱口』は、若林哲哉氏の第一句集。2025年6月、株式会社文學の森発行。 一語一語の選択に隙がない、練度の高い句が並ぶ句集で、俳句を読む悦びに充ちた一冊だった。表面的な巧さだけではない句の精緻さに、職人気質のような精神性を感じた。 卒業や拉麵に帆…

千種創一歌集『あやとり』(短歌研究社)

『あやとり』は、千種創一氏の第三歌集。2025年4月、短歌研究社発行。 作者自身の祖母や亡命中のシリア人活動家へのインタビューを基にした連作や、『チェンソーマン』の第二部にインスパイアされた連作「那由他」など、作品のバリエーションが豊富な歌集だ…

秋草 2025年7月号

「秋草」2025年7月号、山口昭男主宰と会員の作品から好きな句をあげる。 夏来る渦音大き洗濯機 山口昭男 種池や幼子ほめて犬ほめて 山口遼也 検非違使のかけぬけし道凧 加藤綾那 なんとなく春の先頭車両まで 高橋真美 啄木の忌のじれつたき燐寸の火 舘野まひ…

保坂和志『プレーンソング』(中公文庫)

保坂和志の『プレーンソング』を15年ぶりに読んだ。 アパートの場面は結構覚えていたのだけど、海のシーンは全く忘れていた。前に読んだときと変わらず、いい小説だなと思えたのでよかった。 石川忠司の文庫解説から、「形容詞」の話が面白かったので引用す…

大塚凱句集『或』(ふらんす堂)

『或』は、大塚凱氏の第一句集。2025年5月、ふらんす堂発行。 三橋光太郎氏による装幀が素晴らしい。読んでいる間、ざらざらとした本の手触りが、収録されている句群と結び付いてくるような感覚があった。表紙の枯葉の写真も、遠目には別のもの(洋服とか)…

蒼海28号(蒼海俳句会)

蒼海28号は、2025年7月、蒼海俳句会発行。 堀本裕樹主宰と会員の作品から好きな句をあげる。 耳たぶの垂れて羅漢や蠅生る 堀本裕樹 寒念仏樹洞覗いてきし目もて 早田駒斗 ひと振りの塩が塩呼ぶ寒さかな 福田健太 ボルシチの血の色深し草城忌 曲風彦 スポンジ…